誰も指摘しないAngelBeats!とシャーロットの欠点
この2作品、駄目な所を挙げたらキリがないくらい沢山の欠点がある。この記事では、その中でもまだ誰も指摘してない(と思う)大きな欠点を1つ取り上げる。
その欠点は、麻枝准が長い間、ギャルゲーという特殊な媒体でシナリオを書いてきたことに起因する。ギャルゲーはヒロインごとにシナリオがあり、それぞれのシナリオは断絶されてる。CLANNADのことみシナリオは、Key作品では珍しく他のヒロインも最後まで出ずっぱりだが、そこで展開される話はことみのみで、他ヒロインのシナリオが同時に進むわけではない。
ここで何でもいいのでアニメを幾つか思い浮かべてほしい。進撃の巨人、コードギアス、がっこうぐらし。普通、アニメのシナリオはメインシナリオという大きな道路があり、ほぼすべてのキャラが横一列に並んで一緒に歩いている。「メインシナリオを1つ進めよう。じゃあ今回はこのキャラとこのキャラにスポットを当てよう。次の展開ではこのキャラの秘密を明かそう」
1つのメインシナリオがあり、その中で起きる事件、イベント、戦闘と、ほぼすべてのキャラのシナリオが絡み合ってる。これが普通だ。
で、AB!とシャロである。
まずはAB!だ。ラスト直前、ゆりっぺが単身、ラスボスのいる部屋に突入する。うん、この時点ですでにおかしい。主人公の音無はこの時何してたっけ?たしか天使ちゃんの所だっけか。まあ、それもそのはず、だって音無は天使ちゃんとのアレコレのために作られたキャラなんだから。ゆりっぺの神への抵抗とはまったく関係ない。いや、音無だけじゃなく、すべてのキャラが「ゆりっぺのシナリオ」と関係ない。仮にラスボス突入時にゆりっぺ単独ではなく、例えば日向が一緒だったとしても、それはことみシナリオに他のヒロインが登場するのと同じレベルでしかない。
そしてラスボスである。この話の放映前、ネットでは、このキャラが黒幕だ。いやあのキャラだと予想する書き込みを結構目にした。しかし、蓋を開けてみたら、そこに立ってたのはなんかよく分からん新キャラ。視聴者ポカーンですよ。でも僕は、麻枝があえて戦線メンバーを黒幕にしなかったのだとその時は思った。意外なキャラを黒幕にして視聴者を驚かすなんて安易すぎるからそこは外していこうと。しかし、シャロによって、麻枝の中には戦線メンバーを黒幕にしようなんて発想はそもそも無かったのだ気づいた。何故その発想が無かったのか。それは戦線メンバーにはそれぞれに(メインシナリオとは関係ない)個別のシナリオがすでに用意されてるから。だから黒幕は黒幕で新たに用意する。シャロで言うと海外のプロも同じだ。普通のアニメならここで高城あたりに「実は裏切者でした」という役割を与える。
つまり麻枝作品は、一人ひとりに細い道があり、スポットの当てられたキャラだけが歩く。時に他のキャラがスポットの当たってる道に顔を出すが道の外から見てるだけで何かの役割を持ってるわけではない。
次はシャロ。まあ、言わずもがな、あのアイドルである(もはや名前も忘れた)。多分、麻枝が生み出したキャラのワーストはこいつだろう。キャラ自体の魅力とシナリオ、2つの意味でね。このアイドルが加入する回の感想で見かけたんだけど、このアイドルを付け狙ってた大物プロデューサーを科学者連中の仲間と勘違いしてる人が数人いたんだよね。まあ分からんでもない。能力を持ったメインキャラが誰かに狙われてる。メインシナリオと関係があると思ってしまってもしょうがない。で、現実はというと、最初から最後までメインシナリオとはまったく関係なかったっていう。彼女1人だけならともかく、妹ちゃん救済後の空気っぷりや、もはや言葉もないジエンドのアレ。麻枝にも言い分はあるだろう。つまり、シャロは主人公とヒロイン、2人だけの物語なんだと。他のキャラを絡ませないのは意図したことだと。が、これは言い訳にならない。最終話はあれで良い。2人の話がメインなんだから。しかし、ラスト以外の所でいくらでもメインシナリオと絡めるチャンスはあった。絡めると言っても、海外のプロとの戦闘に高城やアイドルを参加させるとか安易なことではない。そのキャラが抱えてる問題や秘密が、メインシナリオと密接に絡んでいて、そのキャラの話を進めることが、同時にメインシナリオを進めることにもなる。これが普通の物語だ。
麻枝がこのようなシナリオを書いてしまう原因として、ギャルゲーのシナリオをずっと書いてきたこと、と最初に述べた。しかしこれ、本当は正しくない。今、アニメ業界にはギャルゲー出身のライターは珍しくない。その中で麻枝と同じ欠点を持った人を僕は知らない。つまり、不思議なことに、麻枝だけがギャルゲーシナリオと同じ書き方でアニメを作ってしまってるということだ。
答えは単純明快だ。麻枝にアニメを作る才能は無い。
って、何だこの文章は(ドン引き)。これでも生粋のだーまえ信者なんだけど。アンチ以外の何者でもないな。まあ、でもこれが偽らざる僕の本音です。
ハリウッドはジャッキー・チェンをもっと評価するべきだった
ずっと前から思ってた事ではなくて、突然思い付いたというか、何の脈絡もなく自分でも得体の知れない感情が沸き上がってきたので書いてみる。
まず、自分はジャッキー大好きだが全然詳しくはない。ハリウッドのことをこれから述べるわけだけど、ハリウッドなんて日本人の平均以下の知識もない。なのでかなり見当違いなことを述べてると思うんだけど生温い目で以下略。
ジャッキーのハリウッド1作目ラッシュアワー。多くのアメリカ人が驚いたはずだ。こんなアクション見たことない、と。もちろんブルース・リーは知られてただろうし、ジェット・リーはとっくにハリウッド進出していた(よね?)。
しかし、ハリウッドに最も強い影響力を与えたのはジャッキーのアクションだと俺は考える。理由はシンプルだ。
面白いから
「強い」でも、「カッコいい」でもない。面白いと思ってもらう為のアクション。裸で股間を隠しながら闘う主人公なんてハリウッドの何処にいる?(探せばけっこう見つかりそうだが)エンタメとして最高に面白い(ストーリーが面白いとは言ってない)のがジャッキーのアクションだ。
で、本題に入るわけだが、ハリウッドって全然ジャッキーの影響受けてなくね?ジャッキー以前と以後でハリウッドのアクションの質というか見せ方って特に変化とかないよね。何で影響受けないのか不思議でしょうがない。
矛盾してるように聞こえるかもしれないが、 ハリウッドはジャッキーを評価してると思う。まあ、自分達は人種差別なんてしてませんよというところを見せるために都合よく利用されてる感はあるが。(ここら辺は完全に妄想で語ってます)
ジャッキー自身は評価されてる。そんなこと、実はどうでもいい。自分が言いたいのは、ジャッキー映画をリスペクトした、またはパクった作品が出てこないのはおかしいぞ、ということだ。
すでにジャッキーは第一線を退いてしまってる。個人が評価されても後世には影響を与えられてない。ジャッキーってそんな程度のアクションスターじゃないでしょ。
似た所で、イチローもそうだ。それまでのNLBにはいなかったまったく新しいタイプのバッターだった。でも、アメリカ人の中から彼の影響を受けた選手が出てきたか?アメリカ人のイチローに対する評価が建前でしかないのがよく分かる。(完全に妄想で略)
まあ、真似しようにもジャッキーのアクションなんてそうそう真似出来ないってのはあるだろうけどさ。
と、勢いに任せて書いてみたけど、ものすごく見当違いなことを言ってるようで不安だ。でもまあ、とりあえずアップしてみる。
あ、ジャッキー映画を一度も見たことないって人はファイナルプロジェクトかラッシュアワーからどうぞ!
ビザンツ皇妃列伝 憧れの都に咲いた花
星4つ★★★★☆
ビザンつ帝国の皇后から8人を、その時その時の帝国の状況を交えつつ語っていく。
王朝の話が好きだ。天皇はもちろん、新しい王朝が生まれては滅んでいく中世ヨーロッパの歴史も好きだ。しかし、一部の例外を除いて、皇后が取り上げられることは無いのでこういう本は嬉しい。しかもそれが日本じゃあまり扱われてないビザンツだからなおさらだ。
この本の良い面であり、人に依っては悪い面になるのが、著者の想像がかなり入ること。これには幾つかの仕方ない理由がある。まず資料がとにかく少ないこと。基本、皇帝のおまけ扱いでしか書かれないので特にその心情面は本当に想像する以外にない。次が、当時の歴史家は皇后を悪く書く癖があり、著者がこれのおかしな点を指摘するんだけど、若干、彼女たちに感情移入しすぎな点は気になる人がいるかも。
8人のエピソードの中で面白かったのはやっぱり最後の2人。なんてたって帝国滅亡直前の皇后だからね。
ドロップフレームを3巻まで読んでみた
星3つ★★★☆☆
惜しい!!もったいない!!
面白い所とつまらない所が同居していて評価が難しい。
さて、あらすじなんだけど・・・、完全に僕だけがいない街だわこれ。夏休みを利用して映画の制作を満喫する学生5人の物語。1巻は特別なことは起こらず、ひたすら映画撮影の日常が続く。が、これがつまらない。
理由は色々あるが最大のはキャラクターかな。申し訳ないが誰一人好きになれなかった。ごくごくオーソドックスなキャラばっかで嫌なキャラなんていないのに何でだろ。絵はすごく綺麗なんだよね。ヒロインなんかどのシーンも美しく描かれててさ。魅力的なキャラが皆無なわけではないんだ。2巻からは僕街のアレをさらに複雑にしたようなことが起こるんだけど、そこで主人公が1人で頑張る姿なんて良いと思うし、刑事のあの人も、主人公に都合のいいキャラだと思うがメインキャラ達よりは魅力がある。
1巻は絵以外見るとこゼロだが、2巻からが本番。彼等は映画制作をしてるわけだけど、主人公はその中で動画編集を担当してる。それを少し絡めたような現象が起きてからは面白く読める。
3巻が解決編かなーなんて思いながら2巻を読んでたんだけど、いざ、3巻を読んでみたら解決どころか新たな要素をぶっこんできてさらに複雑に。4巻が最終巻かな?
日常シーンがつまらんと上に書いたが、あくまで個人的にで、大半の人はそう感じないと思う。メインストーリーは誰が読んでもハラハラドキドキの物語なんで、ループ物(ではないが)が好きな人は要チェック。
胸を張って日本はスゴイと言うために 日本史から見た日本人 古代編
星4つ★★★★☆
面白い日本史の本とつまらない本の違いはどこにあるのか、この本を読んで気づいた。それは作者が世界史に通じているかどうかである。井沢元彦、渡部昇一。この2人は世界史の知識があるだけじゃなく、日本史と比較し読者に解説するのが本当に上手だ。
で、この本は現代まで通じる日本人らしさの源流を古代まで遡って解説するというものである。
この本のいい所であり、悪い所でもある点が1つ。それは全編にわたって「日本人スゲーーー!」で埋め尽くされてることだ。○○が作られたのは平安時代でこれはヨーロッパより100年も早い、とか終始こんな感じ。が、これは仕方ないことなのである。というのも、この本が書かれたのは昭和48年。ちょうど世界が日本を成り上がり者として見ていた時代。日本はこんなにも古い歴史と文化を持ってるんだと世界に、日本人に知らしめる必要があったんだと思う。
なわけで古い本なのである。が、自分は古い作品が媒体に関係なく苦手だ。にもかかわらず、この本は問題なく読めた。事前に古い本だと知らなければ気付かずに読んでたかも。
あと面白いと思ったのは連続性の話。イギリス人が今の自分達との繋がりを感じるのは16世紀からでそれ以前のイギリス史には連続性をあまり感じないらしい。対して日本人は少なくとも奈良時代に断絶は感じてない。万葉集や源氏物語を自分達と繋がりのあるものとしてとらえてる。ん?そうか?と思う人もいるだろうが、歴史を連続性で見るというのは個人的に発見だった。
それにしても、いくら海外に住んでたことがあるとはいえ、世界史(というか海外の文化)の知識量が凄まじよこの人。
やっぱりソ連はおそロシア オリガ・モリソヴナの反語法
星4つ★★★★☆
昔チェコのモスクワ学校に通ってた主人公が、当時ダンスの教師だった女性の謎に迫る。
まあ、夢中で読んじゃったよ。この作品の面白さの要素は複数あって、1つが謎解き要素。オリガ・モリソヴナという人間の来歴。彼女の周囲にいる同じく過去の見えない人物。この本のメインであり、一度読んだら止めどきを失う。
次の要素がソ連が舞台という点。歴史上でも大変ユニークな国だけど、この国を舞台にした話を書くにはしっかりとした知識がないといけない。日本やアメリカの話を書くのとはわけが違う。その点、著者はこの作品の主人公と同じくモスクワ学校出身であり、本の中にもそのリアルが反映されている。
次が絶望的な状況で生きる人間の姿。食料も無く、人間の尊厳も奪われという収容所(?)での生活の描写がとても生々しい。誇張されてる部分もあるのかなとも思いつつ、当時のソ連ではこんな事が起きてたんだねえ。
そして1番重要なのがこの話はフィクションとノンフィクションが混じってるということ。どこまでが本当なのかまったく分からないレベルで融合されている。
1つ難点を言うと、タイトルにもなってる彼女の反語法がいまいちピンとこなかったというか、嫌な言い方をするなら、これって著者の身内ネタなんだよね。自分はそれに乗れなかった。読み方が浅いだけかな?